第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**
ギィィィ……と錆びた扉が開き、夕暮れの眩しい光が埃っぽい倉庫の中に一気に流れ込んだ。
逆光の中、現れたのは……。
「いやーっ! 探したよ、二人とも!! こんなところに閉じ込められてたなんて、びっくりしちゃったなー!!」
「本当よね!! とんだハプニングゥ!」
なぜかテンションを爆上げした、五条先生と野薔薇ちゃんだった。
「…………」
「…………」
私と恵くんは、しばらく何も言えなかった。
五条先生は満面の笑み。
野薔薇ちゃんも、やけに目を輝かせている。
どう見ても。
どう考えても。
二人は心配している様子など微塵もない。
恵くんの眉間に、深い皺が寄った。
そして、地を這うような低い声で五条先生をじろりと睨みつける。
「……これは、どういうことですか」
「あーっ! それね!」
五条先生はポンッと手を叩いた。
「なんかー、風でちょー偶然に、そこら辺にあった棒が扉のつっかえ棒みたいに引っかかってたみたいで! いやー、びっくりだよねー!」
「……そんな不自然な偶然、あるわけないでしょうが」
恵くんの冷ややかな視線をまったく意に介さず、五条先生はさらに得意げに胸を張って私たちを指差した。
「ほらー、だから僕言ったでしょ? 『を一人で行かせたら危ない』って! 恵が一緒にいて、本当によかったよかった!」
「…………」
これって、もしかして。
まさか。
まさかとは思うけれど。
私たち、わざと閉じ込められた……?
「ちょっと、ぃ! 大丈夫だったぁ?」
野薔薇ちゃんが、心配するふりをしながら私の腕をぐいっと引っ張る。
そのまま私は、倉庫の外へ連れ出された。
「で? どうだったのよ。私の貸した『教科書』通り、ちゃんと進展したんでしょうね!?」
「〜〜〜っ!」