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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


「倉庫って暗いし埃っぽいし、もし閉じ込められちゃったら危ない危ない」

「……閉じ込められる前提なのがよくわかりませんが」



恵くんがそう言うと、五条先生は軽く肩をすくめた。



「たとえばの話だよ、たとえば。恵だって、が一人で暗い倉庫に閉じ込められたら嫌でしょ?」

「…………」



恵くんは一瞬黙った。
それから、諦めたように深く息を吐く。



「……わかりましたよ。行けばいいんでしょ」

「さっすが恵。話が早い」



恵くんはまだ納得していない顔をしていたけれど、結局、私たちは二人で備品倉庫へ向かうことになった。


訓練場の裏手にある倉庫は、思っていたよりも古かった。
錆びた取っ手を引くと、ぎぃと重たい音を立てて扉が開く。


中は埃っぽく、薄暗い棚の奥には木箱や訓練用の道具が雑然と積まれていた。
私はむせそうになりながら、恵くんの後について中へ入る。

恵くんは手前の箱を、私は奥の棚を確認することにした。


棚の上段に置かれた箱に手を伸ばす。

あと少し。
もう少し。

つま先立ちになって、指先をぷるぷるさせながら頑張ってみたけれど、どうしても届かない。
すると、隣から恵くんの手が伸びて、その箱を軽々と下ろしてくれた。



「……ほら」



私は「ありがとう」と手で伝えて、箱の蓋を開ける。
けれど、中に入っていたのは、探しているものとは別の札束だった。


恵くんがさらに奥の木箱を開けたところで、その手がぴたりと止まる。



「……あった。これだ」



木箱の中から目当ての呪符の束を取り出し、私たちは一緒に出口へ向かおうとした――まさに、その時だった。


バタンッ! と、背後で重たい扉が閉まる音がした。
その直後、外側で何か重いものが扉にぶつかるような、鈍い音が響く。

扉の隙間から差していた細い光が消え、倉庫の中は一瞬にして暗闇に包まれた。
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