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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


「でも、問題はあんたのほうよ、。あんた、伏黒のこと見る時、いっつも泣きそうな顔してんの、知ってる?」



野薔薇ちゃんのその言葉に、私はハッとして視線を落とした。


泣きそうな顔。
私が恵くんを見る時に?

そんなつもりは、少しもなかった。

恵くんの背中を見るたびに怖くなる。
いつか私のせいで、呪いが彼を奪ってしまうかもしれないこと。
それから――――家族以上の気持ちを欲してしまうこと。

それが全部、顔に出てしまっていたのだろうか。


野薔薇ちゃんは「やっぱ気づいてないか」と深く息を吐いた。



「伏黒を家族以上だと思ってなきゃ、あんな顔しないわよ」

「…………っ」



胸の一番痛いところを直接掴まれた気がして、ぎゅっとペンを握りしめる。



「そんな苦しそうな顔するくらいならさ。好きって、伝えちゃえばいいじゃない」

「伏黒だって、絶対にあんたのこと特別に思ってるわよ。どう見ても両思い確定のボーナスステージじゃない」

「声は出せなくても、そのノートに『好き』の二文字書くだけで、全部ハッピーエンドになるわよ」



野薔薇ちゃんは励ますようにカラッと笑ってくれたが、私はふるふると首を振った。

「両思い確定」だなんて言ってくれるけれど、それは違う。
恵くんが私に向ける「特別」は、きっとそういう種類のものじゃない。


恵くんにとって、私は家族だ。
何も知らなかった私に、一から人間の生き方を教えてくれた人。


恵くんが私のそばにいてくれるのは、責任感からだ。

津美紀ちゃんが呪われて、ずっと眠ったままだから。
もう誰かが傷つくところを、見たくないだけなのかもしれない。
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