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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


***



「、伏黒のこと好きでしょ」



野薔薇ちゃんの部屋に入ってすぐ。
まだ椅子に座るどころか、ノートを開く暇さえないうちに、そんなことを言われた。

手に持っていたペンが、ぽとりと床に落ちる。



「……わかりやす」



野薔薇ちゃんが呆れたようにため息をついた。


違う。
違わない。
でも、違うと言わなければいけない。


慌ててノートを開いて、震える手でペンを走らせる。



『なんで、そう思うの?』

「なんでって、あんなの見せつけられて気づかない方がバカよ。気づいてないのは虎杖くらいじゃない? 特に伏黒があんたに向けるあの視線、あれは完全に『俺の女』に送るやつね」



お、おおおお俺の……女!?

野薔薇ちゃんの口から飛び出した物凄いワードに、私の心臓が爆発しそうなほどの音を立てた。


恵くんが、私のことをそんな目で……?

それはない。
恵くんはただ、家族として責任を持って私を守ろうとしてくれているだけ。
ちょっと過保護なのは、津美紀ちゃんがああなってしまったから余計に……。


そう自分に言い聞かせようとするけれど、一度跳ね上がった心拍数はどうしても元に戻ってくれない。



『恵くんは、家族だから心配してくれてるだけだよ』



自分で書いたくせに、その文字が胸に刺さる。

そう。
恵くんと私は、家族。


野薔薇ちゃんはその文字を見るなり、眉を寄せた。



「はぁー……。出た。家族」

「こういう時に家族って言い出す女、だいたい拗らせてんのよ」



拗らせ……?

こじらせる。
何を?
風邪だろうか。

自分の額にペタッと手を当ててみる。

熱はない。
……いや、ある。
さっきの『俺の女』発言のせいで、顔中が火を噴きそうなくらい熱い。

ま、まさか私……本当に何か恐ろしい病気をこじらせちゃってるの!?


そんな私を見た野薔薇ちゃんは「違う。そういう物理的な話じゃないから」と突っ込んだ。



「あんたってば本当に無自覚な天然記念物ね」



野薔薇ちゃんは唖然としたように肩をすくめた。
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