第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**
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「、伏黒のこと好きでしょ」
野薔薇ちゃんの部屋に入ってすぐ。
まだ椅子に座るどころか、ノートを開く暇さえないうちに、そんなことを言われた。
手に持っていたペンが、ぽとりと床に落ちる。
「……わかりやす」
野薔薇ちゃんが呆れたようにため息をついた。
違う。
違わない。
でも、違うと言わなければいけない。
慌ててノートを開いて、震える手でペンを走らせる。
『なんで、そう思うの?』
「なんでって、あんなの見せつけられて気づかない方がバカよ。気づいてないのは虎杖くらいじゃない? 特に伏黒があんたに向けるあの視線、あれは完全に『俺の女』に送るやつね」
お、おおおお俺の……女!?
野薔薇ちゃんの口から飛び出した物凄いワードに、私の心臓が爆発しそうなほどの音を立てた。
恵くんが、私のことをそんな目で……?
それはない。
恵くんはただ、家族として責任を持って私を守ろうとしてくれているだけ。
ちょっと過保護なのは、津美紀ちゃんがああなってしまったから余計に……。
そう自分に言い聞かせようとするけれど、一度跳ね上がった心拍数はどうしても元に戻ってくれない。
『恵くんは、家族だから心配してくれてるだけだよ』
自分で書いたくせに、その文字が胸に刺さる。
そう。
恵くんと私は、家族。
野薔薇ちゃんはその文字を見るなり、眉を寄せた。
「はぁー……。出た。家族」
「こういう時に家族って言い出す女、だいたい拗らせてんのよ」
拗らせ……?
こじらせる。
何を?
風邪だろうか。
自分の額にペタッと手を当ててみる。
熱はない。
……いや、ある。
さっきの『俺の女』発言のせいで、顔中が火を噴きそうなくらい熱い。
ま、まさか私……本当に何か恐ろしい病気をこじらせちゃってるの!?
そんな私を見た野薔薇ちゃんは「違う。そういう物理的な話じゃないから」と突っ込んだ。
「あんたってば本当に無自覚な天然記念物ね」
野薔薇ちゃんは唖然としたように肩をすくめた。