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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


「もう完全に、恵のこと親鳥か何かだと思ってたよね。髪の毛がツンツンしてるからかな」

「……それは関係ないでしょ」

「そんなも、すっかり年頃のかわいい女の子だね」

「だいぶ、普通に暮らせるようにはなりましたね」

「そのうち彼氏とかできちゃったりして」

「……っ」



牛乳が変なところに入って、むせそうになる。
けれど、先生はそれを見逃さなかった。



「あれ、恵。どうかした?」

「いえ、別に」



先生は頬杖をついて、ニヤニヤと笑ってこっちを見ている。
この人のこういうところ、ほんとにめんどくさい。



「だってもう子どもじゃないでしょ。好きな人ができてもおかしくないし」

「……あいつは、そういうのまだ――」



言いかけて、止まった。

まだ、何だ。

まだ早い。
まだ知らなくていい。
まだ危ない。

そうやって、俺はいつまであいつを五歳のままにしておくつもりなんだろう。



「恵。いつまで家族ごっこしてるわけ?」

「何の話ですか」

「僕の前では、とぼけなくていいのに」

「とぼけてません」

「ふーん? じゃあ、聞くけど……が誰かにあの合図を教えてもいいの?」



さっきの仕草が頭に浮かぶ。

親指と人差し指で作った二つの輪を繋げて。
こっちへ向けて、二回。
十年の間に、いつの間にかできた俺たちの合図だ。


がまだ文字を書けなかった頃から、そういうものだけは少しずつ増えていった。
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