第10章 霧の屋敷の裏側
シルバは窓の淵に肘を掛け、淡い空へ長く息を吐いた。
「…………あれからイルミには何かされてないか?」
「え……?」
「いや」
シルバはまた軽く息を吐く。
「あいつは昔から少し極端なところがある。真面目すぎるというか……」
どこか困ったような声音だった。
「俺もキキョウも長男だからと厳しくしすぎた面はあったのかもしれん。おかげで少々捻くれてしまった」
「…………」
珍しくぼやくような父親の口調に、ニナは思わず小さく笑いそうになる。だが同時に、胸の奥がじんわり温かくなった。
いつの間にか、当主であるシルバに家族として受け入れられていたことが、ただ嬉しかった。