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【H×H イルミ】黒と白のアリア

第10章 霧の屋敷の裏側


そのやり取りを聞きながら、ニナは控えめに口を開いた。

「シルバ様、お出かけの準備をお手伝い致します」

するとシルバは軽く眉を上げる。

「ニナ。俺のことはいい」

「……?」

「お前も早く支度しなさい」

ニナは目を瞬かせた。

「……え?」

「今日は家族で行くと決めた。お前も行くぞ。街を見るのはいい勉強になる」

低く落ち着いた声に、しかし確かに温かみが宿っていた。

ニナの顔がぱっと明るくなる。

「……はい!」

その横で、キルアが嬉しそうにニナの手を掴んだ。

「ニナ! 早く行こうぜ!」

「え、ちょっと、キルア――」

勢いよく引っ張られ、ニナはくるりと回る。膝が崩れた拍子に、ニナの肩がイルミの腕に軽くぶつかった。

「わっ、ごめん! イル兄!」

イルミはわずかに眉を寄せ、冷めた視線を落とした。が、それは一瞬だった。

「二人とも……気をつけてね。街には変なのも多いから」

「うん」

キルアは気軽に返事をする。

ニナはイルミの横を通り過ぎざま、小さく頭を下げた。

「行ってまいります」

イルミは返事をせず、ただ静かに視線を床に落とした。


「わーい! 街だー!」

廊下を駆けていくキルアの後を、ニナが慌てて追いかける。

「キルア、走るのはやめなさい!」

明るい声が、石造りの屋敷の朝に響き渡っていた。
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