第25章 帰着
「もちろんですわ。何をお聞きになりたいの?」
「まずは殿下、このたびの公演を終えられて、どのようなお気持ちでしょうか」
「大変光栄に思っております。これほど多くの方々に劇場へお運びいただけるとは、思ってもおりませんでした」
「先日の戦勝に続き、王都は祝賀の話題で持ちきりです。殿下のご活躍も、市民に大きな喜びを与えたことでしょう」
「そうであれば、私も嬉しく思います。戦いを終え、こうして皆様と音楽を楽しめる日が訪れたことを、何より喜ばしく感じております」
記者たちは熱心に書き留めた。
「ゾルディック先生はいかがでしょう。今回の作品がこれほどの成功を収めることは、予想されていましたか?」
「いいえ」
「では、驚いていらっしゃる?」
「そうですね。劇場の皆さんのお力です」
「ほう。では、劇場での印象深い出来事など、何かお聞かせいただけますか?」
「特には」
記者の一人が苦笑した。
「先生はずいぶん控えめでいらっしゃる」
イルミは何も答えなかった。
エレオノーラも思わず苦笑しそうになった。
稽古場でも、彼はこうだった。何かを尋ねても、必要だと思わなければそれ以上は話さない。
「では、殿下。先生のご指導はいかがでしたか?」
「大変勉強になりました。音楽について、これほど多くのことを教えていただいたのは初めてです」
「先生からご覧になって、殿下はいかがでしたか?」
「非常に高い歌唱技術をお持ちです」
「それだけですか?」
「ええ」
また小さな笑いが起こった。
そのやり取りに、記者たちも次第に打ち解けていった。