第24章 別離
「なるほど。返礼の品か」
「はい」
「別に困りはしないだろう」
「そうなんですか!」
ニナの顔がぱっと明るくなった。
「じゃあ、やっぱりウサギでもいいのかもしれませんね」
「そうだな」
「ありがとうございます、シルバ様!」
シルバはごく真面目に頷いた。
すると、椅子の背にもたれていたキルアが、焼き菓子を頬張りながら口を挟んだ。
「でも、ライネルがウサギ好きかどうかはわからねえじゃん」
「あ……そうよね」
ニナはまた考え込んでしまった。
「やっぱり果物の方が無難じゃない?」
「果物……」
「じゃ、リンゴにしとけ」
「リンゴですか」
ニナは真剣な顔になった。
「いったい、ライネル様は何がお好きなんでしょう?」
「本人に聞けば?」
「でも、贈り物なのに先に聞いてしまっていいんでしょうか」
「じゃあ聞かなきゃいいじゃん」
「そうすると、困らせてしまうかもしれませんし……」
「……面倒くさいなあ」
ミルキは呆れたように言った。
キルアは横槍を入れたことなど忘れたように、夢中でお菓子に手を伸ばしている。
シルバはしばらく二人のやり取りを聞いていたが、やがて口を開いた。
「本人が時間をかけて作ったものなら、柄が何であれ、悪い気はしないだろう」
ニナは顔を上げた。
「そうでしょうか」
「ああ」
「そうですよね!」
ニナはようやく安心したようだった。
「では、もう少し練習してみます。今度はもっと綺麗に縫えるように」
「まあ、頑張って」
ミルキは三つ目の菓子に手を伸ばした。