第24章 別離
「ニナが縫ったの?」
「はい」
「へえ」
ミルキはしばらく眺めていたが、やがて四つに畳んだ。
「まあ、貰っとくけど」
「ありがとうございます!」
「いや、お礼言うのはこっちじゃないの?」
「あ、そうでした」
ニナはくすくす笑った。
ミルキはハンカチを自分の傍らに置き、また菓子に手を伸ばした。
「実は、その……ライネル様にも何かお礼をしたいなと思って」
「ああ」
「裁縫が得意だなんて申し上げておいて、こんなんじゃ呆れられちゃいますかね?」
「うーん。まあ、呆れはしないんじゃない?」
「本当ですか?」
「知らないけど」
二枚目の焼き菓子を食べ終え、皿に残った細かな欠片を指で集めたミルキの側に、ニナはまだ何か気になる様子で立っていた。
「……何?」
「あの、やっぱり少し子どもっぽかったでしょうか」
「何が?」
「ウサギです」
ニナはミルキの傍らに置かれたハンカチを見た。
「やっぱりウサギより、果物とか植物の方がいいでしょうか」
「さあ」
ミルキも少し考え込んだ。
「パパはどう思う?」
「ん?」
ちょうど居間に入ってきたシルバが、足を止めた。
「何だ」
「刺繍の柄の話」
「刺繍?」
「ニナがさ、ライネルにハンカチを贈りたいんだって」
「ほう」
「で、大人の男が小動物の柄とか貰ったら困るもんなの?」
シルバはニナを見た。
「小動物?」
「はい。ウサギとか……」
ニナは少し緊張して答えた。
シルバはテーブルに並んだ贈り物を一瞥した。