第24章 別離
居間に入ると、いつもの大きなテーブルの上が、見慣れない包みでいっぱいになっていた。
大小さまざまな箱には色とりどりの包装紙がかけられ、細いリボンを結んだ瓶や、金色の文字が入った丸い缶まで並んでいる。
「まあ……!」
ニナは思わず足を止めた。
「こちらは全て、ヴェルハイト侯爵様からニナ様へ届いたお品でございます」
執事が恭しく告げた。
「お茶や焼き菓子のほか、珍しい砂糖菓子もございます」
「こんなにたくさん……」
手に抱えた花を揺らしながら、ニナはテーブルに駆け寄った。
グランツェ王国からライネルに手紙を書いたのは、つい先日のことだった。屋敷に戻ってから、まだそれほど日も経っていない。それなのに、もう返事が届いたらしい。
「……ライネル様」
ニナは小さく呟いた。
花束を執事に預けると、そっと一つの箱に手を伸ばした。
包みを開けると、中には薄い紙に包まれた焼き菓子が、きちんと列を作って並んでいた。
別の箱には、果物の砂糖漬けが入っている。赤や黄色の果実は砂糖の粒をまとい、宝石のようにきらきらと光っていた。
「これ、何のお菓子かしら」
ニナが青い小花模様の茶缶を手に取ったところで、居間の扉が開いた。
「何? この箱の山」
聞き慣れた声に、ニナは嬉しそうに振り返った。
「ミルキさん! ライネル様から、贈り物をいただいたんです」
「へえ。すごい量じゃん。流石」
「そこにちょうどよく顔を出すブタくんもね」
先にテーブルについていたキルアが、口を挟む。
「キル。お前は黙れ」
ミルキは構わずテーブルを覗き込んだ。
「お茶やお菓子がたくさんあるんですよ。ミルキさんもどうぞ!」
ニナが差し出した箱から一つを摘まんで口に運ぶと、薄い焼き菓子がさくりと小さな音を立てる。
「……ん、うまい」
「よかった!」
ニナは嬉しそうに笑った。