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【H×H イルミ】黒と白のアリア

第17章 探究者達


五線譜の上を、ペン先が走り続ける。

頭の中で鳴り続ける旋律を追いかけるように、音符が紙の上へ落ちていく。

やがて、ふっと手が止まった。

「……」

イルミはインクの乾ききらない譜面を眺める。

勢いがあったのはここまでだ。
この先は一度整理しなければならない。
イルミは椅子の背にもたれ、小さく息を吐いた。


その時だった。
階下から、聞き慣れないざわめきが届く。

「……?」

通行人が騒いでいるのとは違う。
荷車の車輪が石畳を転がる音でもない。
数人の足音と、慌ただしく交わされる声。


「……煩いな」

眉をひそめ、窓際へ歩く。

カーテンを少しだけ開くと、通りに一台の黒い馬車が停まっていた。

「……!」

見慣れた紋章に思わず目を見開く。



「なんで……」

ゾルディック家の馬車だった。


イルミの胸の奥が微かに揺れる。

そういえば。

王都へ来てから、キキョウから何通も手紙が届いていた。
しかし、目を通す時間も惜しかったため、執事に封を切らせ要点だけを聞き、返事も代筆させていた。


王命による大規模な制作。
状況は家にも概ね伝わっているはずだ。


「……ひょっとして」

ゾルディック家が動いたのかもしれない。

人手か、それとも何か別の手配か。

――援軍が来た…?!

ほんの一瞬だけそんな考えが頭をよぎる。




コンコン。

間も無く、控えめなノックが響く。

「イルミ様。お客様がお見えです」



「失礼します」

部屋の扉が開く。

執事が一礼して脇へ下がる。
入れ替わるようにゴトーが前へ出て、扉を押さえた。

その奥から、ゆっくりと一人の老人が姿を現す。


「久しぶりじゃな、イルミ」

「……ゼノ爺ちゃん」


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