第14章 災厄の到来
あの夜のことが頭を掠める。
刺繍をしたまま眠ってしまった夜。
思い出すたび、胸がもたれたように気分が悪くなる。
勝手に触れられたこと、その後何事もなかったように振る舞われていることも、決して気分の良いものではない。
それなのに忘れた頃に思い出してしまう。
けれどイルミは、今も何でもない顔をして窓の外を眺めたままだ。
まるで最初から何もなかったかのように。
もしかしたら、本当に何でもなかったのかもしれない。自分だけが気にしているだけで。
そう思うと、余計に胸の奥がざわついた。
「それでニナ。次はいつお会いできるのかしらね。きっとその時に指輪を貰えるのではないかしら。ああ楽しみ!」
「……あ、でもそう言えば」
ニナが、ライネルから預かった青い石のことをキキョウに伝えようとした時だった。