第13章 Interlude(間奏)※一部、微裏あり
深夜。
グランツェ王国から戻ったイルミはゾルディック邸の廊下を、歩いていた
オペラ座でのエレオノーラからの誘い。
香水の匂い。賭け事。乗馬の一件。
そして王女という立場を承知の上で、わざと触れてくる指先。
思い返し、イルミは長く息を吐いた。
「……疲れる」
顔へかかった髪すらそのままに、居間の取手へ手をかける。
扉を開けた瞬間、柔らかな灯りが視界を包む。
その灯の影でソファの背に凭れて、ニナが眠っていた。
「……」
刺繍枠をその膝の上に抱えたままだった。白い指には、まだ細い針が握られている。
危なっかしい。
イルミは無言で近づくと、ニナの手からそっと針を抜き取った。
そして布ごと静かにテーブルへ置く。
それから少し屈み込み、ニナの顔を覗き込んだ。
微かに口を開けて眠っている。
薄い寝巻き越しに、静かな呼吸で胸元がゆっくり上下していた。
初夏とはいえ夜は冷える。
こんなところで寝ては、また風邪をひくだろう。
「起きて」
肩を軽く揺する。
反応はない。
「ニナ」
もう一度揺するがそれでも起きない。
イルミはぼんやりと視線を落とす。
白い首筋。
緩く開いた寝巻き。
柔らかな布地の下の控えめな膨らみ。
イルミはしばらく見下ろし
「……王家の令嬢には敵わないか」
と小さく呟いた。
ふと、エレオノーラを思い出す。
あの熱っぽい視線。早まった鼓動。
イルミは数秒黙ったまま考え込む。
そして何を思ったのか、肩へ置いていた手を、すっと下へ滑らせた。
寝巻きの隙間から差し込んだ手が、ニナの柔らかな胸に触れた瞬間、イルミの呼吸がふっと解ける。
イルミはそのまま感触を確かめるように控えめな白い膨らみをゆるゆると捏ね上下させる。
「……、……、……」
ニナは規則正しい寝息を立てたままだ。
イルミは僅かに目を細めると、指先をそっとニナの胸の先端へと滑らせた。そのまま、悪戯っぽく軽く弾く。
ぴく。
ニナの肩が跳ねる。
薄く瞼が開いた。
「……ん……」
次の瞬間。
「きゃっ――!」
イルミが口を塞ぐ。
「騒ぐな」
「んーーっ」