第12章 Cadenza(カデンツァ)※一部、微裏・怪我表現あり
「怖かったの」
どこか甘えるような言い方に、イルミは軽く息を吐く。
「子供みたい」
「今は……怪我人ですもの」
エレオノーラはそう言い、イルミの手を自分の胸元へと導く。
ドクン、ドクン、と速い鼓動が掌へ伝わってくる。
「……凄い心拍」
「誰のせいだと思ってるんですの」
イルミは繋がれた手元から喉元へ視線をなぞる。
空いた方の手がソファの背から降りてきて、そのままゆっくりエレオノーラの喉元へ伸びた。
指先が肩に流れた金髪を背中側へ払う。
白い首筋が露わになり、エレオノーラが小さく息を呑む。
その反応に、イルミの黒い瞳が静かに細まった。
「看病なんて出来ないけど」
触れるだけの口付けがエレオノーラの首筋へ落とされる。
「……っ」
ぞくり、と背筋が粟立った。
イルミはそのまま耳元へ顔を寄せる。
「痛みを忘れる方法なら知ってるよ」
エレオノーラの睫毛が微かに震える。