• テキストサイズ

【H×H イルミ】黒と白のアリア

第11章 Second Theme(第二主題)


「……でも、海って少し怖そうです」

「怖い?」

「さっきのお話を聞いてたら……嵐とか、船が沈むとか……」

「ああ」

ライネルは少しだけ笑う。

「それは商船の話だ。積荷を積んだ大型船は天候の影響も受けやすい」

「じゃあ客船は……」

「そこまで揺れないよ。商船と客船はそもそもの作りが違うし、もちろん天候次第ではあるけど、初めて乗る人間でも大抵は数日で慣れる」

穏やかな声だった。
安心させようとしているのが分かる。
なのにニナの胸は妙にざわついたままで、視線を彷徨わせてしまう。



その横顔を見たライネルは、静かに目を細めた。

海風に揺れる栗色の髪。
不安を隠しきれない細い肩。
庇護欲にも似た感情が胸の奥を静かに掠める。

まだ踏み込むべきではない。
そう理解しているのに――
ライネルの指先は、気づけばニナの髪へ触れていた。

小さな頬へ掛かった髪をそっと掬う。
指先へ伝わる柔らかさに、ライネルの喉が僅かに動いた。
そのまま硝子細工を扱うように、静かにニナの肩を抱き寄せる。



潮風と香木の混じったような匂い。
厚い胸板の熱。
日に焼けた首筋。
ニナの肩が僅かに強張る。

ライネルはそれに気づくが何も言わず、ただ耳元に近い低さで告げた。

「安心してくれ。急がない。来月じゃなくても客船は逃げたりしない」

それからニナの額にそっと口付けた。

/ 199ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp