第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】
――「オマエ、術師やめろ。クソの役にも立たねぇから」
最近になって、高専生時代に言われた五条の言葉を、伊地知は時折り思い出すことがあった。
――「今すぐ普通免許取ってこい。マニュアル車のな。断ったらマジビンタ」
気遣いの欠片もない。自分の言葉を受け取った相手がどう感じるかを想像できない。そんなデリカシーのない人間は少なからずいるが……五条は間違いなくここに分類されるだろう。
そう、思った。
けれど、そんなデリカシーのない言葉に、伊地知は同時に救われた。
五条があぁ言ってくれなければ、自分は中途半端な術師になって……きっと、この場にはいなかっただろう。
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新宿に向かい、呪力を練り上げる五条の後ろに膝をつき、伊地知は張り巡らせた呪符に必死で呪力を流した。
なんで自分がこんな大役を……結界を張るだけなら、自分よりももっと適任がいる。
それに対して現代最強は一度 呆れた顔をした後、澄んだ空色の瞳を伊地知に向けて言った。
――「オマエが一番信用できる。そんだけだよ」
五条の言葉を思い出しながら、伊地知は結界を組み上げていく。
自分は逃げた人間だ。
逃げる勇気もなく、逃してもらった人間。
そんな人間を、「信用できる」と最強が言ったんだ。
応えないわけにはいかない。
応えられなければ、ここで死ね――‼︎