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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】



 ――「オマエ、術師やめろ。クソの役にも立たねぇから」


 最近になって、高専生時代に言われた五条の言葉を、伊地知は時折り思い出すことがあった。


 ――「今すぐ普通免許取ってこい。マニュアル車のな。断ったらマジビンタ」


 気遣いの欠片もない。自分の言葉を受け取った相手がどう感じるかを想像できない。そんなデリカシーのない人間は少なからずいるが……五条は間違いなくここに分類されるだろう。


 そう、思った。


 けれど、そんなデリカシーのない言葉に、伊地知は同時に救われた。

 五条があぁ言ってくれなければ、自分は中途半端な術師になって……きっと、この場にはいなかっただろう。

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 新宿に向かい、呪力を練り上げる五条の後ろに膝をつき、伊地知は張り巡らせた呪符に必死で呪力を流した。

 なんで自分がこんな大役を……結界を張るだけなら、自分よりももっと適任がいる。

 それに対して現代最強は一度 呆れた顔をした後、澄んだ空色の瞳を伊地知に向けて言った。


 ――「オマエが一番信用できる。そんだけだよ」


 五条の言葉を思い出しながら、伊地知は結界を組み上げていく。

 自分は逃げた人間だ。
 逃げる勇気もなく、逃してもらった人間。

 そんな人間を、「信用できる」と最強が言ったんだ。
 応えないわけにはいかない。


 応えられなければ、ここで死ね――‼︎


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