第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】
「なーんか、すげぇ久々な気がするわ、渋谷」
「【獄門疆】の中の時間はどうだったんですか?」
ビルの中を歩きながら、伊地知は五条に尋ねる。
「……仕事がクソ忙しいときに近いかな。一週間とかあっという間に過ぎるんだけど、絶対やり直したくはないくらい長い矛盾。あの感じ」
なるほど。最悪ということは分かった。
「……地下五階の人たちはどうなった?」
静かな問いに、伊地知は緩みかけた気を引き締める。
――渋谷駅 地下五階。
特級呪霊との戦いに加え、大量の改造人間の投入。その中で課された、大勢の一般人救出。そのために五条が行った、0.2秒の領域展開。
五条から話を聞く前に、すでに渋谷駅の状態を直接 見た東堂と新から報告を受けていた。家入の診断でも、五条の【無量空処】を食らっている可能性が示唆されていた。
「ここは渋谷事変で沸いた呪霊の爆心です。東京の非術師は渋谷に近いほど生存率が低い」
けれど、地下五階は五条の残穢が濃く残り、【呪い】が全く寄りつかなかった。
【無量空処】の後遺症もなく、すでに全員が社会復帰している。
伊地知の報告に、五条は「そりゃ結構」と言いながら大きく伸びをした。
やがて、伊地知たちは屋上へ到着する。
「じゃあ、ボチボチ始めようか。歌姫、お爺ちゃん」
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「宿儺様。決戦は本日 二十四日ですが、時間と場所は……」
『そんなもの、決める必要はない。分かるのだ』
「左様でございますか」
新宿のビルの屋上で胡座をかき、宿儺は『ククッ』と笑った。
『来たわよ』
渋谷の一角から凶々しい気配が立ち上るのを感じ、詩音が冷や汗を流す。
『あぁ。噂をすれば……だな』
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