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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】


 詞織を刺した感触が蘇った。

 記憶の中にある、見開かれた夜色の瞳から目を逸らすように瞼を閉じる。


 ――「我が一門の当主 神ノ原 星也 並びに、妹 詩音の――返還を求めます」


 そう宣言して宿儺に立ち向かった星良は、胸を貫かれた。
 宿儺に刀の姿へ変えられて……この、あたしが……。

 ヒトガタを使っていたようだが、魂を分けられたヒトガタが致命傷を負えば、それは本体の魂にも還る。


 ――『今頃、本体に衝撃が跳ね返って死んでいるだろう』


 違う。宿儺のやったことよ。
 あたしは“やらされた”だけ。

 そう言い逃れたくても、この目が見た。
 肉を貫く感触が、手に、身体に、残ってる。


 違う……!


 あの、現代最強が宿儺を倒せば終わる!

 相手は呪いの王――それでも、戦うのは現代最強・五条 悟よ!


 負けるはずない。“絶対” 勝てる!


 だから……だから……!


『詩音』

 名前を呼ばれ、宿儺に顎を掴まれた詩音は、無理やり視線を合わせられる。

『下を見るな。俺を見ていろ。この俺が現代最強とやらを殺す、その瞬間をな。紅い眼(まなこ)を開き、しっかり焼きつけろ』


 違、う……違うわ。

 死ぬのはオマエ。

 現代最強が、お前を殺してくれる。


 そうでしょ……そうじゃなきゃ……。


 ――『仮にそうだとして、どこへ戻るつもりだ? 姉を手にかけ、妹を殺しかけておいて……誰がオマエを受け入れる?』


 ――『もはや、オマエに戻れる場所など存在しない』


 そんなことないわ。

 帰れるわよ、詞織のところに……。

 自分の顎を掴む宿儺の手を振り払うつもりで袖を掴む。それでも、何も言い返すことはできなかった……。

* * *

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