第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】
――十二月二十四日。
新宿の中でも特に背の高いビルの屋上。その縁に座り、詩音はぼんやりと空を仰いでいた。
「それじゃ、私は君が五条 悟と戦ってくれてる間に、【死滅回游】の泳者を狩らせてもらうよ」
「鬱陶しい。さっさと去ね!」
ひらひらと手を振る羂索に、裏梅が顔を盛大に顰めながら追い払う仕草をする。
「仕方ないだろ。今日まで宿儺から離れたら、五条 悟に殺されちゃうところだったんだから」
とっとと殺されればよかったのに。
ほんと、ぎゃあぎゃあと うるさい連中。
うんざりしながら、それでも話は耳に入ってくる。
「まぁ……そうでなくても、今日まで動く気はなかったけどね」
そう、羂索は続けた。
五条 悟が負けた場合、他の高専の術師たち――特に乙骨を始めとする主戦力は、今日は宿儺や裏梅、詩音たちから離れられない。
彼らが宿儺を倒せるのは、五条と戦った後――。
大丈夫よ……今日で全て終わる。
あたしは帰る。詞織のところへ。
フッと後ろを振り返れば、宿儺がこっちを見ていた。薄く上がった口角、愉しげに細められた瞳にビクッと身体を震わせ、俯く。