第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】
「つーか、アンタが上の命令で学長を殺すことになったのは、僕が封印されたことが発端だろうしな。ごちゃごちゃ責める気にもなんないよ」
小さく笑うも、それでも……胸に迫るものはある。
一瞬ごとに、学生時代で褒められたり、怒鳴られたりした夜蛾との記憶が浮かんでは消えた。
「……学長は……最期に何か言ってた?」
楽巌寺に尋ねると、彼は微かに瞼を伏せ、ゆっくりと口を開く。
「……与――メカ丸のことを、案じていた……それと、パンダのこと。あの【呪骸】は突然変異ではなく、作り方があると……」
「一個確認。その作り方、メカ丸は知らないんだよね」
「あぁ、与本人が夜蛾から聞いて隠している可能性もなくはないが……」
「まぁ、学長なら言わないでしょ。同じ術式持ってるなら尚更」
言葉を交わしながら、五条は楽巌寺を見上げた。そして、堪えきれず「ははっ」とつい笑ってしまう。
「その歳でも人は変われるんだね」
「どういう意味だ?」
怪訝そうな顔をするってことは、自分でも気づいていないのか。
「だって、今の話、誰にも言ってないだろ。パンダの秘密は特級案件だ。上に報告しないなんて、今までのアンタならあり得ない」
メカ丸の件もそう。今の彼に謀反の意思がなくとも、内通の罪は消えていない。
それでも、楽巌寺は現在進行形でメカ丸の存在を容認している。
「変わったね、お爺ちゃん。アンタが総監部のトップに立てば、少しはマシになるでしょ」
血の海に沈む総監部の連中を思い出しながら、五条は微かに瞼を伏せた。
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