第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】
星良と話を終え、いまだ目を覚まさない釘崎の様子を見に行き、虎杖や順平たちと再会の時間を作り……五条はソファに座り、家入や乙骨をはじめ、皆から聞いた情報を頭の中で一人 整理していた。
そこへ、カツッと杖を鳴らす音と共に見知った気配が近づいてくる。だが、五条は振り返ることなく一つだけ息を吐いた。
「夜蛾を殺したのは儂だ」
その言葉に、五条はようやく顔を上げ、声の主――楽巌寺を見上げる。
「……そ」
夜蛾の死亡、その経緯、なぜか自分と夏油を唆したとして総監部から死刑が通達されていたことも含め、すでに知っている。
短く相槌を打った五条に、楽巌寺は「なぜだ?」と呟いた。
「なにが?」
「揃いも揃って、なぜ儂に【呪い】をかけん?」
楽巌寺の声はいつも通り平坦な気がしたが、言葉を重ねるごとにどこか感情が滲んでいるように感じた。
「……別に」
そう、五条も平坦に返す。
夜蛾は五条の学生時代の担任であり、恩師だ。
それを殺したと言えば、恨み言を言われるか、最悪 殺されるだろうとでも思っていたのか。馬鹿らしい。
「アンタのことは、学長を通してよく知ってるつもりだ」
潔癖マニュアル人間の成れの果て。
だからこそ、信用できる部分もある。