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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】


「気づいていないのか? まさか、彼の行いが『優しさ』だとでも?」

 そこまで言って、日車は伏黒に指先を向けた。

「星也君は君の姉が受肉されていることを知っていた。それを君たち二人に意図的に伏せていた。そうだな」

「そう、だけど……でも、それはわたしたちを傷つけないようにって兄さまが……」

「それだよ」

 詞織の言葉を遮り、日車が指摘する。

「『君たちを傷つけないため』。随分と聞こえのいい言葉だな。だが、実際は君たちから選択権を奪う行為だった」

 そうだろ、と日車は続けた。

「君たちはまだ子どもだが、同時に術師だ。姉が受肉されていたことに対して、それをどう受け止めて行動するか。君たちには選択する権利があったはずだ」

「確かに、そうだが……」

 だから、星良は先ほど謝罪し、全てを打ち明けてくれた。

 津美紀の件も星也のことも、全て自分たちの責任だと、そう伝えてくれた。 

「身代わりの術、だったか。これもそうだな。星也君のこの術によって伏黒、君は救われた。だが、結局 彼はその身代わりの術についても黙っていたわけだ。言えば君が断ることは目に見えている。彼としては合理的な判断だったんだろうが……庇われたことによって、君には心理的負担が生まれた」


 ――「俺たちはそんなに頼りないのかよ」


 そう突き放したときの星也の表情は、あれから一度も忘れたことはない。

 俯く伏黒たちに、日車は一つ嘆息する。
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