第26章 そして、スランチオに始まる【予兆/人外魔境新宿決戦】
「ここか……」
誰だ……?
伏黒はサッと立ち上がり、男を観察する。そのスーツについたバッジに、思わず目がいった。
あのバッジ……コイツ、弁護士か?
見れば分かる、と冥冥は言った。
それはおそらく、自分の使役する烏をつけていたからだろう。なら、冥冥の言う来訪者はこの男で間違ってはいないはず。
「虎杖は?」
「今 立て込んでる。代わりに俺たちが出迎えに来た」
そうか、と頷いて、男は軽く息を吐いた。
「現状を把握したいと思っていてな。タイミングよくこの烏が飛んできたというわけだ。さて……」
ジッと見定めるように男がこちらを見る。
「高専一年、伏黒。虎杖とは同期だ」
「……高専一年、神ノ原 詞織」
名乗ると、男はネクタイを整え、居住まいを正した。
「日車 寛見。弁護士をやっている」
「日車……アンタが?」
【死滅回游】中に探していた100点保持者。虎杖が説得して得点譲渡の総則を追加してくれた人物だ。
虎杖からは、「ちょっと癖あるけど、いいヤツだったよ」という曖昧な人物評価だけ聞いている。
そのまま三人で共有スペースに移動し、伏黒は詞織と一緒に日車へこれまでの経緯を説明した。
やがて、一通り説明を終えると、日車は共有スペースの自販機で買ったペットボトルの水に口をつけ、一息吐く。