第25章 紐解くスコア【 】
「――【照らし出す暁が 地上へ降り注ぐ。鮮やかな歌声よ 明日に希望の灯を伝えて】」
詞織の顔つきが変わった。歌声も張り詰め、力強いものに変わる。
まるで、眠っているものへ語りかけ、目覚めを促す歌。
一度 歌が途切れ、再び最初から始まる。それが何度も、何度も繰り返された。
いつもなら一度 歌えば感情が昂り、通常よりも術式の威力が上がる。だが、今は基礎呪力が低下しているため、何度も繰り返し、ようやくいつもと同じ呪力量に戻るのだろう。
何度 聞いただろうか。
伏黒がメロディーを覚えるほどに繰り返された頃、ようやく封印に変化が見られた。描かれた陣が外側から薄れ、やがて札が剥がれる。
そこに現れたのは、古びた扉だ。それを前に、詞織が一歩下がる。
「……開けるぞ」
札埜が取っ手に手を掛け、ゆっくりと開いた――瞬間、グァッと顎が札埜を襲う。
「《六番――燃やせ》!」
ゴォッと炎が襲ってきた何者かを呑み込んだ。
「何だ、今の……」
詞織を後ろに下がらせ、身を低くしながら、伏黒は炎を見つめる。
「禁書のセキュリティだろ。封印とは別に二重で掛けてたんだ。抜け目がねぇな」
炎が引くと、そこには【顎】と書かれた札が効力を失い、ボロッと崩れた。
「……あれだな」
狭い部屋の中央に置かれた台座――そこに一冊の書物が置かれている。札埜が手を伸ばすと、書物からバチッと火花が爆ぜ、弾かれた。
「大丈夫⁉︎」
慌てて詞織と駆け寄ると、札埜は「なんでもねぇよ」と手を振る。