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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第25章 紐解くスコア【 】


「いけそうか?」

「ん……いつもの わたしだったらできる……でも……」

 呪力の乏しい状態の自分に自信がないのか、詞織が瞼を伏せた。

「オマエの実力も術式も俺は知ってる。大丈夫だ」

 そう言って頷いて見せると、瞳を揺らしながら詞織も頷く。そして、緊張気味に息を長く吐き出して、小さく吸い込んだ。


「【願わくば この声を聞き届け給え……ふわり吹く黎明の風に乗せて……】」


 詞織の歌が忌庫に響く。透き通った声で紡がれる その歌は、いつもと違って頼りない響きだ。

「……時間が掛かりそうだな」

 腕を組んで壁に寄りかかる札埜に、「そうだな」と伏黒も内心で頷く。

 歌に感情が乗っていないのだ。

 詞織の術式は感情が込められていないと本来の効果を発揮できない。呪力に関してもそうだ。『感情が昂る』という条件がある。

 だが、すでに歌い始めた詞織にそれを伝えれば、集中力を削ぐことになってしまう。


「【朝焼けの月と目覚めの鳥に……真っ白な祈りのうた 歌わせ給え】……」


 詞織の表情に焦りが滲んだ。自分でも気づいているのだろう。術式をうまく作用させられていないと。

 詞織がこちらに視線を向ける。
「やっぱり できない」、と夜色の瞳が語っていた。

 そんな詞織に、伏黒は「大丈夫」と唇を動かし、もう一度 頷いて見せる。目を瞬かせた詞織が瞼を閉じ、深く息を吸い込んだ。
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