第25章 紐解くスコア【 】
「七海さん……?」
首を傾げながら、詞織が「はい」と電話に出る。そして、その顔は段々と青ざめ、彼女は夜色の目を見開いた。
「詞織?」
不意に、詞織がガクンッと膝を折る。
「姉さま……!」
ガクガクと震える細い肩を支え、伏黒は詞織の落としたスマホを耳に当てた。
「七海さん? 伏黒です」
『伏黒君ですか。先ほど、詞織さんには伝えたんですが……星良さんが重傷を負っています。戻ってこられますか?』
「は? なんで……」
星良は拠点から出ていない……いや、待て。
忌庫の鍵を渡すとき、七海はなんと言っていた……?
――「星良さんは所用で不在です。しばらく動けなくなりそうなので、これを あなたに渡すよう頼まれました」
こうなると分かってて詞織に鍵を……?
「……もう、やだ……」
詞織が顔を覆い、しゃくり上げる。その背中をさすりながら、伏黒は七海との通話を終え、震える息を吐き出した。その隣で、札埜もため息を吐く。
「テメェら、なんて顔してんだよ」
禁書を肩に担ぎ、札埜が扉を顎でしゃくった。
「とっとと出るぞ。急ぎなんだろうが」
「……そう、だな」
そうだ。まだ何も始まってなければ、何も終わっていない。
まだ、できることはある。
星良だって、死んだわけではないのだ。
――そうだろ。
呪文のように何度も言い聞かせ、伏黒は詞織を支えながら立ち上がった。
* * *