第25章 紐解くスコア【 】
「呪力不足が問題なら それを解決すればいい。普通なら無理だろうが、オマエには『歌っている間は感情の昂りで呪力が上がる』特性があるだろ。今の基礎呪力量じゃ上がるまでの時間が掛かりすぎて戦闘には使えねぇが、ここなら邪魔するヤツはいない」
札埜の提案に思わず振り返り、伏黒は詞織と顔を見合わせる。
「封印の解析はできるか?」
「……兄さまと姉さまに習ったことがある」
詞織の答えに、札埜が「なら問題ねぇ」と頷いた。
「こういう封印は金庫に鍵を掛けるのと同じ理屈で施されてる。一見 複雑に見えるが、実際はそこまで難しくないって晴明が言ってた。【獄門疆】みたいな強固な封印でもねぇし、出力さえ安定させられれば今のオマエでもできる」
詞織の夜色の瞳が不安げに揺れる。
「詞織、やれるか?」
時間がない。詞織が解呪できるのなら それが一番いいが……無理をさせたいわけじゃない。
詞織が掴んだ伏黒の服の裾を離し、胸の前で両手を握り込んだ。
「……やってみる。それくらいしか……今の わたしにはできないから……」
深く息を吐き出す詞織の手に触れる。その手は、微かに震えていた。
「充分だろ、それで」
短く言うと、彼女は泣きそうな顔で小さく笑みを浮かべる。そして、詞織は伏黒のもとを離れると、封印の施された壁に手を触れ、瞼を閉じた。