第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
『そうか。ならば、こういう趣向はどうだ?』
――【来い、詩音】
『いやぁあぁあぁぁぁ――――っ‼︎』
「詩音⁉︎」
宿儺の呼びかけに、詩音が溢れるほど目を見開く。さすがの星良も、ここで初めて顔色を変えた。
『やめて……いや……いやっ‼︎』
叫ぶ詩音の身体の輪郭が解け、紅い粒子が宿儺の元へ向かう。それに触れると、紅い刀身を持った一振りの長刀へ変じた。
宿儺は口角を持ち上げ、刀の切っ先を星良へ向ける。
「さすがは【呪いの王】……嫌なところを突いてくる」
『褒め言葉として受け取っておこう』
冷や汗を流す星良へ答えると、刀が音を立てて震えた。詩音が抵抗しているらしい。
宿儺が呪力を流して威圧すると、ピタリと震えが止まる。
宿儺は刀を構え、地面を蹴った。星良が動く気配はない。けれど、その夜色の瞳に諦観はなく、宿儺を真っ直ぐ見据えている。
――ドッ!
刀が星良の胸を貫いた。カハッと吐き出された血が宿儺の衣を濡らす。
随分とあっさりやられたな。
カタカタと刀が音を立てているのは、詩音が泣いているからか。
軽く息を吐き、宿儺は刀を抜こうとする――と、その手をパシッと止められた。眉を寄せて顔を上げると、星良と視線が交わる。
「言ったでしょ……あたしは……神ノ原一門の、術師……無様な死に方は、しない……って……」
星良が手を伸ばし、血に濡れた指先を宿儺に突きつけた。
「星也……会いに来たよ……」
ヌルッと星良が宿儺の顔に指を走らせる。
――【書字具現術『接続』】
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