第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
「元々 津美紀に会いに来たのよ。そしたら あなたがいた。でも、ちょうど良かったわ。あなたにも会いたいと思ってたから」
星良が札と筆を構える。その衣の袖が、風に大きく煽られた。
「――参ります」
ビュッと風を切り、白い雷を纏いながら霊符が飛んでくる。
「【霊符展開『神雷』――急々如律令】!」
「【聖観音――急々如律令】」
印を結び、宿儺は防御結界を展開した。不可視の壁に阻まれ、【神雷】が霧散する。
先ほど飛び退いて躱したのを見て、【神霊】による攻撃が有効だと判断したのか。やはり、愚かではないな。
だが、正の呪力を使う分、消耗が大きいはずだ。ならば、こちらは呪力効率のいい式神や言霊で押し切る。
『【勾陣・白虎――合成天将「白金(しろがね)」】』
現れた巨大な猛虎を前に、星良が小さな巻物を広げて筆を走らせた。
「【書字具現術『猛虎』】」
巻物が姿を変え、体格のある虎へと変じる。そこへ さらに、【頑強】、【突進】と字を重ねた。
『力比べが成立すると思うのか?』
宿儺の号令に【白金】が地面を蹴る。同時に星良が召喚した猛虎も走り出した。二体の虎が額を合わせて拮抗する――だが、それも長くは続かなかった。
パンッと黒い墨が弾け、星良の呼び出した猛虎が消し飛ぶ。
そして、そのまま【白金】は星良へ突進した。勢いよく突き上げられ、星良の身体が宙を舞う。