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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】


「お初にお目に掛かります。【呪いの王――両面宿儺】殿」

 先ほどまでと打って変わり、格式張った口調で話しかけてきた。

「改めまして。土御門が末端、神ノ原一門 長子――準一級術師 神ノ原 星良」

 正式の名乗りを上げ、星良が真っ直ぐ宿儺を見据える。

「我が一門の当主 神ノ原 星也 並びに、妹 詩音の……」


 ――返還を求めます。


 この状況で怒りも怯えもせずに名乗りを上げるか。強がり……というわけでもなさそうだ。

 豪胆――千年 遡っても、自分を前にこれほど揺るがない人間は珍しい。

 星良の立ち居振る舞いに、昔 無謀にも自分に挑んできた術師を思い出す。星良と同じ夜色の髪と瞳を持つ、【陰陽術式】を使う男。

 なるほど。この女もまた、安倍 晴明の血縁というわけか。

『ケヒッ』と思わず笑い声が漏れる。

『断る――と言ったら?』

「もちろん、そのときは力づくで」

『オマエ程度の術師が、俺に勝てるとでも?』

 宿儺の言葉に、「まさか」と星良は肩を竦めた。

「あたしみたいな凡庸な術師が、あなたに勝てるわけないでしょ」

『ならば、なぜ一人で来た?』

 星也の記憶で、星良のことはある程度 知っている。勝てない戦いに挑むほどの愚か者ではないはずだ。
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