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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】


「――無粋なのね」

 突然の星良の言葉に、宿儺は思わず手を止める。

「“妹”とのお別れよ。最期の挨拶くらいさせて」

 振り返った星良の頬には、一筋の涙が流れていた。それを拭い、彼女は「詩音」と妹を呼ぶ。

「後回しにして ごめんなさい。無事? 怪我はしてない?」

 星良に尋ねられ、詩音の紅い瞳が揺れた。握りしめた拳が震え、姉を睨みつける。

『無事なわけないでしょ……詞織と引き離されて……攻撃させられて……それで無事なわけないじゃない……!』

 まるで緊張の糸が解けたように、詩音はしゃくり上げ、『助けて……』と小さく溢した。


『詞織のところに帰りたい……! 助けて……助けてよ、“姉さん”……っ‼︎』


 妹の叫びに目を丸くし、星良は柔らかな慈愛の笑みを見せる。

「詩音……初めて頼ってくれたわね」

 そう言って立ち上がり、星良は衣についた塵を払った。

「あたしは詞織みたいに あなたに寄り添ってあげることも、星也みたいに あなたを生かすこともできなかった……あなたにとっては、無力な姉でしかない。それでも、あたしに できることがあるなら……」

 星良の夜色の瞳が宿儺に向けられる。
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