第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
万から手渡されたモノを受け取り、息を引き取った万を見つめる。そこで不意に、宿儺は振り返った。
「【霊符展開『神雷』――急々如律令】‼︎」
バチバチッと音を立てて爆ぜる白い雷に、宿儺は反撃を捨てて飛び退く。
今の攻撃……正の呪力を使った浄化の雷だった。あのときの“天使”と似た性質を持っている。
「津美紀……!」
距離を取った宿儺に構わず、直衣に似た儀式用の衣を纏った女が万――伏黒 津美紀に駆け寄り、膝をついた。
『神ノ原 星良……⁉︎』
詩音が驚きの声を上げる。
「詩音、教えて。津美紀が息を引き取って どれくらい経ってる?」
『はぁ? 何の話? もう死んでるわ。どれだけ あなたの【反転術式】の腕がよくても……』
「いいから教えて」
問いを重ねる星良に怪訝な表情をしながらも、詩音が『さっきよ』と短く答えた。
今さら何をするつもりか。
背を向けているため、星良の様子は宿儺から見えない。
まぁ いい。元より、この後 星良を殺しに行くつもりだったのだ。手間が省けた。