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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】


『……伏黒、津美紀……』

 呆然と呟く詩音を一度 見やり、宿儺は砂利を踏みしめながら倒れた万の前に立った。

『紹介がまだだったな』

 宿儺が手のひらを翳すと、そこに眩い光が集まる。

『十二天将の最高位――【貴人】。コイツは解析した事象に適応する能力を持つ』

 星也や神ノ原一門の先祖である安倍 晴明は、【貴人】の能力を使わないという“縛り”のもと、他の十二天将の能力を底上げしていた。

 現に、渋谷で【魔虚羅】と対峙した際も、星也は十二天将の出力低化を厭い、【貴人】の能力を使わなかった。

【魔虚羅】と同じ能力を持つ【貴人】を使っていれば、あれほど一方的な戦いにはならなかっただろう。

『オマエのような呪力効率が悪い術式は、運用手段が画一的になりがちだ。何を構築しようと、構成する物質は使い慣れた液体金属か、虫の鎧を流用する。だが それは――』


 ――すでに適応済みだ。


「何よ……アタシのこと、そんなに知ってたの? 嬉しい」

 死の淵にありながら、万が目尻を下げて口角を上げる。殺されるというのに笑みを溢すとは。

 すると、万が震えながら手を持ち上げた。

「これ……アナタに……アタシだと思って、後生大事に使ってね……」

 ・

 ・

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 ――前後の感覚も不確かな暗闇……意識の奥深くに沈められた星也はビクッと身体を震わせた。

「……津美紀……」

 涙が頬を伝う。

 身体を丸くして蹲り、星也は現実から逃れるように、固く目を閉ざした。

* * *

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