第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
『ケヒッ……さぁて、耐えられるかな?』
ニヤリと嗤い、式符に包まれた万を見下ろす。
『【騰蛇・勾陣・朱雀――合成天将「勾炎龍・烈火」】』
まるで炎で形どられたような、巨大な龍が空気を焼いた。背中に背負う炎の翼がはためき、熱風が巻き上がる。
『――【業火滅焦(ごうかめっしょう)】』
地上へ向け、地獄の業火に匹敵する、毒々しいほどの紅い炎が轟音と共に吐き出された。そのあまりの熱量に詩音は思わず顔を覆う。
極限まで高められた火行の性質――浄火を司るはずの朱雀の炎も、宿儺の呪力で転化していた。
炎が開けたときには、グラウンドは真っ黒に焼けて更地が広がる。その中央では、虫の鎧を焼き尽くされた万が浅い呼吸をしていた。
『やはり、【御厨子】を使うまでもない。そんなものか、貴様の愛とやらは』
「まだまだ教えてあげるわよ、愛を! 絶対的な強者! それ故の孤独! アナタに愛を教えるのは このアタシ‼︎」
そう叫ぶ万に、宿儺がフッと笑みを浮かべる。