第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
「――ざっけんじゃないわよ‼︎」
顔を上げた万が、憤怒の形相で叫ぶ。
「これから妻となる女に! アナタの術式以外で触れるなんてどういうつもり⁉︎ アタシにそういう趣味はないわよ‼︎」
妻にする予定もないがな。
地団駄を踏む地面がバギッバギッと音を立てて割れるのを、宿儺は冷めた表情で眺めた。
「御厨子なしで、アタシに勝てると思ってるの?」
パキパキと音を立て、構築された“ソレ”が万の身体を覆っていく。
――万の【構築術式】は特殊な呪具を除き、鍛錬次第で、万本人が認識できる物質はほぼ全て再現できる。
数ある武具を構築し、歴戦の術師となった万が行き着いたのは、半自立制御の呪力により物体を安定させたまま体積を変化させる液体金属、そして――数多の生態機能を流用・特化させた肉の鎧……。
『何よ、あれ!』
数多の昆虫を掛け合わせたような異形の姿へと変貌した万を前に、詩音が驚愕の声を上げた。だが 宿儺は、動じることなくケヒッと嗤う。
『慣らし運転にはちょうどいい』
そう呟いて、宿儺は十二天将――その一つを呼んだ。
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