第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
『【青龍】』
くすんだ青緑色の龍がとぐろを巻いて現れ、万に襲いかかる。その表情は嘆きに歪んでいた。
万が拳を握り、【青龍】へ鋭く拳を打ち据える。こちらへ切迫する万を【白虎】に背を預けて躱した。
万の後方から、【青龍】が再び強襲を仕掛ける。それを飛び退いて躱し、万が勢いよく黒い液体金属をいくつも伸ばしてきた。
ドッと黒い液体金属が弾ける。とっさに詩音が柵に身を乗り出してこちらを見たが、そのときには、宿儺は【白虎】と上空へ逃れていた。それに気づいた万が再び攻撃を再開する。
しかし、攻撃が目前に迫る中で勢いが落ちた。
「待って」
液体金属が霧散する。動きを止めると、万が怪訝な表情でこちらを見ていた。
「さっきから何それ。その器の術式?」
『あぁ』
「【御厨子(みずし)】は?」
『【御厨子】は使わん』
神ノ原 星也の魂を沈めるため、伏黒 津美紀を破壊する。
【陰陽術式】のみでそれを行い、星也の魂に『自ら伏黒 津美紀を手に掛けた』という傷を刻む。
伏黒 津美紀だけでは沈めきれないだろう。だから、同じことを神ノ原 星良にも行い、星也の魂の意志を完全に削ぐ。
そう企んでいると、万が身体を震わせていた。