第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】
『あり得ん話だが、負けたのなら死んだも同然。死体をどうしようと貴様の自由だ』
「じゃあね、じゃあね……け、けけけけ結婚なんてことも……?」
『勝手にしろ』
自分の爪の先を見ながら言うが、万には充分だったようだ。
「言質とったり! はい、“縛り” ――‼︎」
グラウンドに万の興奮した声が響き渡り、詩音が思わずと言った様子で耳を塞ぐ。
「アタシが正妻! そこの女を妾にするのも許さないから‼︎」
『こっちからお断りよ』
指をさされ、詩音は迷惑そうに顔を顰めた。
「婚儀では最低でも村 三つは滅しましょう! 余興では村一番の美男を干し首にして その変わりゆく様を皆で句にするの! 『イケメンも 干せばカピカピ いとをかし』――なんちゃって」
『最悪ね』
『季語がないぞ』
興奮した万は宿儺の言葉も詩音の言葉も聞こえていない。
「裏梅は? アイツは受肉してるの? 料理はアイツに仕切らせましょ! 猿脳のポタージュはマストだから!」
そして、「そこのアナタ!」と万が詩音を呼ぶ。
「詩音だったかしら? アタシの世話係くらいはやらせてあげてもいいわよ」
『冗談なら随分つまらないわね』
「テンション上がってきたぁ――‼︎」
煩わしさを通り越し、面倒くさそうに詩音がため息を吐いた。けれど、そんな反応も、万は気にならないほど昂っている。
そろそろ飽きたな。