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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】


「……俺はずっと、俺が嫌いだった。いつも自分より強い奴らの顔色を窺って……」

 そう、建物の裏手で甘井は懺悔のように虎杖に話していた。

 タイミングを見計らい、相手の気持ちいい言葉を吐く。
 自分には、そういうクズの才能があった。

 虎杖と初めて会ったとき――カツアゲを止めに入った虎杖の強さにビビって、甘井は真っ先に逃げた。あの後、仲間にボコボコにされたのを覚えている。

【死滅回游】でも同じだ。ずっとビビっていた。
 それでも自分はクズの才能で強いヤツの手下についた。

「変わりたかった。日車のところに乗り込んだオマエについて行って、一緒に戦いたかった。でも、俺には勇気がない」

 そこまで話して、「違うか」と自分の言葉を否定する。

「俺にないのはプライドなのかも」

 甘井はずっと黙って聞いてくれている虎杖を見た。

「ごめん、話 終わり。とにかく謝りたかったんだ」

 自分の取り留めのない話をまとめる。
 すると、虎杖が口を開いた。

「オマエがどんなヤツとか正直 知らん。俺には甘井が行動した事実と結果だけがある。甘井のおかげで来栖が助かった。ありがとう。俺たちは負けてない」

 立ち上がって去って行く虎杖に、甘井は思わず「待てよ!」と声を掛ける。

「聞いたぞ! オマエの中に、もう宿儺はいないんだろ⁉︎ 戦えんのか⁉︎」

 その言葉に虎杖が立ち止まるも、振り返ることはなかった。

「関係ない。もともとアイツに協力してもらったことなんてないしな。家入さんが言ってた。今の俺は、宿儺っていう呪力に浸された呪物みたいなモンだって」

 それに、と虎杖は続ける。

「アイツを殺すためなら、なんだって喰ってやる」

 低く決意を口にする虎杖に、甘井はそれ以上 何も言えなかった。

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