第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
「……俺はずっと、俺が嫌いだった。いつも自分より強い奴らの顔色を窺って……」
そう、建物の裏手で甘井は懺悔のように虎杖に話していた。
タイミングを見計らい、相手の気持ちいい言葉を吐く。
自分には、そういうクズの才能があった。
虎杖と初めて会ったとき――カツアゲを止めに入った虎杖の強さにビビって、甘井は真っ先に逃げた。あの後、仲間にボコボコにされたのを覚えている。
【死滅回游】でも同じだ。ずっとビビっていた。
それでも自分はクズの才能で強いヤツの手下についた。
「変わりたかった。日車のところに乗り込んだオマエについて行って、一緒に戦いたかった。でも、俺には勇気がない」
そこまで話して、「違うか」と自分の言葉を否定する。
「俺にないのはプライドなのかも」
甘井はずっと黙って聞いてくれている虎杖を見た。
「ごめん、話 終わり。とにかく謝りたかったんだ」
自分の取り留めのない話をまとめる。
すると、虎杖が口を開いた。
「オマエがどんなヤツとか正直 知らん。俺には甘井が行動した事実と結果だけがある。甘井のおかげで来栖が助かった。ありがとう。俺たちは負けてない」
立ち上がって去って行く虎杖に、甘井は思わず「待てよ!」と声を掛ける。
「聞いたぞ! オマエの中に、もう宿儺はいないんだろ⁉︎ 戦えんのか⁉︎」
その言葉に虎杖が立ち止まるも、振り返ることはなかった。
「関係ない。もともとアイツに協力してもらったことなんてないしな。家入さんが言ってた。今の俺は、宿儺っていう呪力に浸された呪物みたいなモンだって」
それに、と虎杖は続ける。
「アイツを殺すためなら、なんだって喰ってやる」
低く決意を口にする虎杖に、甘井はそれ以上 何も言えなかった。
・
・
・