第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
「でも、本当に運が良かったですね。甘井くんの術式で受け止めて、星良さんのところに運べたからこそ……」
「あと、これは確実ではないのだが、髙羽――彼が傍にいてくれたことが大きい気がする」
そこまで話し、一瞬の静寂の後に乙骨が改めて口を開く。
「早速で申し訳ない。今後の方針のために確認したいことがある」
そう前置きし、乙骨が“天使”を呼んだ。
「君は宿儺のように、他の人間に乗り移ることは可能か?」
『結論から言うと、無理だ』
“天使”の回答は、決して想像していなかったことではない。
この問いはすでに、“天使”と同じく受肉した過去の術師である札埜にもしており、家入たちの推測を補強する形となった。
『私を含め、なぜ多くの古の術師が羂索の誘いに乗ったかというと、誰も死後 呪物に成る方法なんて知らなかったからだ』
“天使”の言葉に、「だよな」と札埜が頷く。
「けど、宿儺は知ってた……いや、違うな。宿儺も知らなかったはずだ。ヤツも羂索の誘いに乗って呪物になった口だろ。だからこそ、器の方は【死滅回游】に登録されてたんだ」
『そう、宿儺も我々と同じ。だが、【堕天(宿儺)】は一度 経験しただけで掴んだのだろう。自らの魂を呪物として切り分ける方法を』
“天使”の推測に、札埜が眉を寄せて低く舌打ちをした。
「じゃあ……」
『あぁ。私たちの仕事は、五条 悟の封印を解くまでだ』
そこで、華が動かない己の右腕を見つめ、左手で触れる。
「……星也は? 星也は……どうなるの……?」
* * *