第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
「右腕の感覚は?」
「……ありません」
病室で華が目覚めたのを確認した家入は、乙骨、札埜と軽く現状を説明し、右腕の状態について尋ねた。己の右腕を一瞥し、華は短く言って首を振る。
「ごめんね。せっかく治してもらった腕をこんな風にしちゃって」
乙骨が申し訳なさそうに眉を下げる。
ここに着くなり、星良は乙骨の指示で、復元した腕を封じた。呪術的にいうなら、“欠損した状態”を継続させている。
『書いた文字通りのことを具現化・実行する』――星良の術式だからこそ成せる技だ。そして このことにより、華が前線へ復帰することは難しくなった。
「まずは僕たちの話を聞いて欲しいんだけど……いいかな?」
乙骨の華の様子を伺うと、彼女の頬に現れた口が『いいだろう』と言葉を発する。
『本来なら即死していた。貴様にも礼を言う必要があるな』
それが誰のことか すぐに察せられた。華の視線が札埜に向く。
「別に、ただの成り行きだ。礼を言われることじゃねぇ。俺はただ神ノ原 星也に会いに行っただけだ。こんな状況は夢にも思わなかったがな」
札埜からも話は聞いている。結界内に軍隊が導入され、きな臭さを感じた札埜は星也と状況の確認をしようとした。だが、東京第2結界にいたはずの星也が第1に移動している。
その後、結界の出入りが可能になり、東京第1結界に移動した札埜は、華の墜落現場に居合わせ、星良のところへ運ぶのを手伝ったらしい。