第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
「呪霊は殺すと消失反応で塵になってしまう。個体差はあるが、切り離された一部も同様だ。だから、まずは一体一体丁寧に締める。頭部などの核に当たる部分のみを私の術式で凍らせてから切り離し、残りを細切れに濾していく」
呪霊を捌きながら説明してくれる裏梅に、「なるほどね」と羂索は相槌を打った。
「こんなものに浸かってどうするのさ」
「“魔”に近づくのだ。神ノ原 星也の自我――いや、魂をより深くへ沈めるために」
裏梅の答えに、羂索は「クックッ」と喉の奥で笑う。
「だってさ。いいの? 君のお兄さんだろう?」
詩音を振り返って揶揄うように言ってやると、彼女はふいっとそっぽを向いて膝を抱えた。
『どうでもいいわ。詞織以外……どうでもいい』
やがて、トプッと水音を立て、宿儺が浴場から上がってくる。そこへ裏梅が駆け寄り、着替えを持って控えた。
「顔、それでいいんだ?」
『今はな。術師連中と戦うのであれば、このままの方が都合がいい』
確かにそうだな、と羂索は納得する。
裏梅から渡された着替えを羽織り、自分の手を見つめていた宿儺がコガネを呼んだ。
『伏黒 津美紀はどこにいる?』
宿儺の問いに、コガネが表示したのは仙台の結界だった。