第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
「【死滅回游】を終わらせる?」
呪霊を捌きながら問う裏梅に、羂索は「あぁ」と頷いた。
「私の目的――『天元と人間の超重複同化』は、【死滅回游】を終わらせないと実行できない」
そこへ、『待ちなさいよ』と煩わしそうな表情で詩音が割って入る。赤と黒のゴシックロリータを着ていた彼女だったが、裏梅の指示で白の着物に緋袴の巫女装束に着替えていた。
『【死滅回游】は永続する。そういう話じゃなかったかしら?』
「『永続するゲームを終わらせる』無理難題の“縛り”を私自身にかけることで、【死滅回游】という理不尽なゲームを成立させたんだ」
そう話すと、裏梅が鉈のような剣を下ろし、面倒くさそうに こちらを振り返る。
「なら さっさと終わらせてこい。なぜ貴様まで ここに戻ってきたんだ」
「どうやって終わらせるとか聞いてくれないの?」
『興味ないわね』
吐き捨てるように言う裏梅。詩音は自分の爪を眺めるばかり。二人ともつれないな。
「興味があってね。【浴】ってやつに」
ニッと羂索は口角を上げた。
「【浴】は本来、家宝として秘蔵する器物を外敵から守るために呪具化する儀式だろう」
蠱毒で厳選された生物を潰し濾(こ)すことで得られる呪力の溶液に器物を十月十日 漬け込む。
「いやはや――それをまさか呪霊で再現するとはね」
禪院家が所有する訓練場。そこは赤黒い呪霊の溶液でたっぷりと満たされていた。それを眺め、羂索は感心した声で頷く。