第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
『なんで仙台にいるの? もう泳者が結界に留まる必要はないでしょ』
「誘ってるんでしょ。戦(や)りたがってるんだもの、彼と」
気怠げに疑問を口にする詩音に、羂索は宿儺を示す。
「だからといって、なぜ仙台に?」
淡々とした口調だが、裏梅も不思議そうだ。
「あぁ、もう君らってホント。詩音が知らないのは無理ないけどさぁ。万は会津の人間だよ? 千年ぶりに受肉したら、まずは故郷を訪ねてみたくなるのが人の常だろう。あとは近場の結界へって……」
半分以上 呆れた気持ちで説明してやるも、宿儺はこちらを見すらせず、鬱陶しそうにしている。最初に聞いてきていたはずの詩音も自分の髪を弄るばかりで聞いていない。
「あぁ、ホント君らって」
「どの口が言ってるんだ」
辛辣だがようやく裏梅が反応を返してくれる。
「っていうか戦(や)るの? 万と? わざわざ君から出向いて?」
普段なら面倒くさそうにあしらうだろうに、と気になって尋ねると、『何かおかしいか?』と逆に聞かれてしまう。
「いや、てっきり放っておくのかと。昔から君たちって、万の一方的な片想いだろ」
恋焦がれて迫る万を、宿儺が無視するか振り払うかしているのを何度か見かけたことがある。だからこそ、わざわざ万のために宿儺が動くことが解せなかった。