夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第20章 星のイラート【星と油】
腹に【うずまき】の直撃を受け、さらに重力に潰された九十九を羂索は冷ややかに見下ろしていた。
「今さら何のつもりだ――天元」
天元を振り返った羂索は目を丸くする。そして、思わずククッと笑った。
「何がおかしい?」
「何ってその面(ツラ)……それは自分で選んだ姿か? まるで――」
脳裏に四つ目と四本の腕を持つ、人とは思えない存在を思い出す。
「何のつもりかと聞いたな」
一瞬 眉を寄せた羂索は、不意にガッと足を掴まれる。九十九だ。
「気を逸らせれば それでいい」
「死んどけよ、人として」
腹に穴が空いていてまだ生きているのか。
瞬間――身体が引き寄せられる。その圧倒的な力の強さに羂索は目を剥いた。
なんだ、これは……⁉︎
「【星の怒り】で調整した質量の影響をアタシ自身は受けない。ある一定の“密度”密度まではな!」
密度――【星の怒り】で後付けできる質量に制限がないとしたら……。
「まさか、ブラックホールか‼︎」
超高密度では強い重力を持つブラックホールでは、物質だけでなく光さえ抜け出すことはできない。地球を直径約二センチまで圧縮するほどの密度で生まれるとされている。
ギュイイイイッと九十九を中心に高密度の吸引力が生まれていく。
「重力を扱う割に想定が甘いんじゃないか? 重力も! 質量も! 時間も! 突き詰めれば――……ッ‼︎」
生み出されたブラックホールに、【薨星宮】が呑み込まれ、瓦礫と化する。それは音すら呑み込むほどの衝撃だった。
破壊された天井から場違いなほど明るい陽射しが差し込む。
不気味なほど静まり返る【薨星宮】の中に、ドッ、ドッと瓦礫を叩く音が響いた。