夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第20章 星のイラート【星と油】
重力の術式――九十九たちが動けずにいる中、【凰輪】がビッと羂索へ鋭く尾を突き出す。それをさらに羂索が重力で押さえつけた。
不意に身体にかかっていた重力の負荷が消える。
――六秒!
術式範囲は術師から半径二〜三メートル。持続時間は六秒。
それが分かれば充分!
九十九は【凰輪】を呼び、長い身体を鞭のようにしならせ、羂索へ放った。それを羂索はのけ反って躱す。さらにその間に巨体の呪霊を呼び出した。
重力の術式のインターバルを【呪霊操術】で潰すつもりか。
でも、アタシ相手にそれは時間稼ぎになんねぇよ‼︎
九十九は【星の怒り】で自身に質量を加し、踏みつけるように呪霊を一瞬で祓う。
――勝つ!
――『私は呪霊操術の術式対象だ』
天元の言葉を思い出し、九十九は奥歯を噛み締め、羂索に殴りかかった。
【反転術式】と領域で呪力を削り、脹相と肉体も削った。
――「あのとき、僕たちが理子さまを守れなかったから……」
己の無力さに俯く星也を思い出しながら、九十九はさらに術式の出力を上げる。
“重力”は想定より融通の利く術式ではない。あの効果範囲なら、近接で攻めても溜めでギリ躱せる。
――「……俺は……なんで……楽な道を選んだ……?」
声を震わせて涙を流す脹相の横顔を思い出し、九十九は強く拳を放った。
――攻める! こんな機会 二度と来ない‼︎
そのとき、打ち出した九十九の拳を羂索が受け止める。その傍らには、小さく悲鳴を上げる――極小の【うずまき】⁉︎
九十九は放たれた濃密度の呪力波を真正面から食らった。