• テキストサイズ

夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中

第20章 星のイラート【星と油】


「虎杖 悠仁の未来に、キミは必要ないのか?」

 そう、九十九は脹相に聞いた。

「弟の未来のために命を張っても、その未来にキミがいないんじゃ意味がないんじゃないのか?」

 怪訝な表情をする脹相に続けると、彼は正面に顔を戻し、「九十九」と呼びかけてくる。

「……俺は“人”か?」

 逆に問いかけてくる脹相の横顔を、九十九は黙って見つめた。

「弟たちが受肉したときに思ったんだ。異形の肉体を持つ弟たちを、“人”は受け入れられないと」


 ――だから【呪い】として生きる道を選んだ。


 ――だから渋谷で大勢 殺した。


 確かに、脹相はかなり人に近い容姿をしている。だが、彼の弟はどうだ。

 壊相も人に近い姿をしているが異臭は誤魔化せないし、血塗はもはや人の姿をしていない。

 受肉体だから、非術師もその姿を見ることができる。

『“人”が弟たちを受け入れない』という脹相の考えを否定することはできない。

「俺が殺したのは人間だけじゃない。血塗と壊相を殺したのも……俺だ」

 俺が“人”として生きる道を選んでいれば、“弟たち”弟たちが殺し合うことはなかったんだ。

 脹相の独白のような言葉を、九十九は黙って聞いた。

「……なんでだろう……なんであのとき……俺は……なんで……」

 脹相の顔が歪む。

「……楽な道を選んだ……?」

 一点の虚空を見つめる脹相の目から、大粒の涙が溢れた。

「“人”として苦しむ二人を、俺がみたくなかったんだ。二人はそんなに弱くないのに」

 九十九は何も返さず、ただ脹相の言葉を受け止める。

「……そしたらどうだ。まるで罰のように、“人”として苦しんでいる悠仁が現れた」

 きっと、俺たちは四人で戦う運命だったんだ。
 俺が楽をしたせいで、悠仁を独りにしてしまった。

「キミが死んだら、また彼は独りだろう」

「九十九、オマエは優しいな」

 ようやく九十九が口を開くと、脹相は涙を拭う。

「でも、駄目なんだ。俺は何の信念もなく人を殺した。これ以上 悠仁とは生きられない……」


 ――ここしかないんだ。俺の命の使いどころは……。

 ・

 ・

 ・

/ 446ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp