第13章 13.
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静かに泣いている侑士を心配そうに見る空木。
「すみません。
少しきつく言ってしまいました」
はあ、とため息をつく空木に、そんな事無い、と、侑士の手当てを終えた紫陽は首を振った。
「あなたは、プロであるからこそ、調理場(あそこ)で怪我人が出たことに自分を許せなかった。
そして、侑士があまりにそれを軽視するから、少し腹を立てたのよね」
わかってるわ、と落ち込んでいる空木を励ます。
「侑士には、私からも話しておくから」
「...侑士さんに怪我をさせてしまい、申し訳ありませんでした」
「すぐに応急処置をしてくれてありがとう」
お願いします、と空木は部屋を出る直前、侑士さん、と立ち止まった。
「本当に、ごめんなさい」
侑士は、プルプルと頭を振ると、俯いたまま言った。
「料理に集中してへんかった、俺のせいやから」
空木はん、何も悪ない...と言う覇気の無い声に、お大事になさってください、と空木は扉を閉めた。
手当てを終えた手をジッ、と見ている侑士。
「......た」
「ん?なぁに?」
包帯を巻いた手を握り、それを額に当てて蹲った侑士。
「めっちゃ、怖かった...」
「空木が?」
コクッ、と頷いた侑士に、でしょうね、と言う。
「彼は、自分自身を大切にできない人に、とても怒りを覚える人だから。
そうできない人たちの事情もわかる人だから、一方的に押しつけはしないけれど、それを理解できる人だとわかってる人がしないと、とても怒るわ。
それは、自身を大切にしないだけじゃなく、周りの人たちも大切にしないことだとわかっているから。
ケガをしたことじゃなく、貴方があなた自身を無下に扱うような事をしたから怒ってたのよ。わかる?」
「『こんなん大した事ない』て、処置しようとせぇへんかったから...」
そう、と頷く紫陽。
「彼は、毎日、何時間も、火のそばで、刃物を使い、時には毒のあるものの処理もしている。
そんな調理場は、彼にとって、不要な血が流れることは許されないの。命にかかわるから。それは、彼の信念なのよ。
それを『平気、平気』と軽視されては困る、というのは理解した?」
「はい」
2つもやってもうたなぁ、と肩を落として落ち込む侑士に、やっぱりあなたは聡明ね、と紫陽は微笑み、救急箱の片付けをした。
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