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意志あるところに道は開ける

第13章 13.



「なんやあいつっなんやあいつっ!
 なんやねんなっ!?」

キッチンの作業用の机の長い脚にしがみつき、怖い怖い怖い!と瞳孔をかっぴらく侑士。

「いや、ネコか、お前」
「フーッ!フーッ!フーッ!」
「ネコだな」

毛を逆立てるようにして怯える姿に、どうしたもんか、とドンドンと叩かれる勝手口を見る空木。

「スウィーティー?
 そこにいるんでしょう?
 ねえ、顔を見せてぇ〜。
 ダーリーン?」

ミュージカルのような声に、知らん知らん知らんっ!と激しく頭を左右に振る侑士に、ま、だろうな、と空木。

「誰だ?」
「知らんっ絶対知らんっ」

怖い、と己の身を抱く侑士に、しゃあねぇな、と立ち上がる。

「お前はとりあえず紫陽さんとこに行っとけ」
「かっ空木はん...死なんとってや...」
「縁起でもねぇこというなよ」

早く行け、と診療所に駆け出した侑士を確認し、勝手口を開ける。

扉の目の前にいた少女の前に、どん、と立ちはだかる空木。

「スウィーティー!
 あら?」
「うちの子になんの用だ?」
「先ほどは存じ上げないと申されましたわよね?
 まあ、いいです。わたくし、ひのはと申しますの。
 末永くどうぞよろしく」
「さっきまでのじゃじゃ馬っぷりどこ行った?」

突然お淑やかになった彼女を疑り深く見る空木。

「背が高くて青みがかった黒髪の、それはそれはまるで物語から現れた王子様のようなご子息様ですわね
 彼はどんな素敵な名前をお持ちで?」
「...うちにそんなのはいねぇよ」
「いえ!先ほどこちらに駆け込まれましたわ
 スウィーティー?
 いらっしゃるならお返事をっ!
 スウィーティー?」

やっかいなのに絡まれあがったなぁ、と空木が頭を抱えると、空木さん?とキッチンに来たのは紫陽。

「紫陽様、」
「ああ、彼女のことだったの?
 侑士が言う『怖いんと』は」
「やべぇタイプですよ」

なんですって!?と叫ぶ彼女の声に、空木はうるさそうに片耳を指で塞いだ。

「ごきげんよう、Dr.紫陽」
「こんにちは、ひのはさん」

早速なんですけれど、と笑顔のひのは。

「マイスウィーティーをぜひ、私のパートナー、そう伴侶にというお話をさせていただきたく...」

苦笑いの紫陽。

ガチのやべぇ奴だった、と空木はドン引きした。

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