第2章 2.
ついてきて、と言われて入ったのは、立派なシャンデリアが提げられたダイニングルーム。
「ここに座って」
椅子を引いた彼女の脇に膝をつくと、違う、と腕を引かれた。
「あなたが椅子に座るの」
「え?」
「大丈夫。
何の仕掛けもない、ただの椅子よ」
ほら、と彼女はそこに座って、背もたれに背をつけて肘掛に腕を置いた。
「どうぞ」
そして立ち上がると、その場所に勧めた。
そっと尻を座面につけると、ふわりと柔らかく、バランスを崩しそうだった。
「もう少し深くかけて」
「は、はい」
言われたとおり、少し腰を浮かせると、重厚そうな椅子の背もたれに背を預けた。
ノックの音に立ち上がろうとした肩を押され、席に戻る。
「どうぞ」
「失礼します」
深く頭を下げた女給仕が、お食事をお持ちしました、と言った。
「消化にいいものを、とのことでしたので、菜園で採れた根菜を温かいポタージュにし、デザートにいちごのコンポートをお持ちいたしました」
「ありがとう」
目の前には、見たこともないほどに磨かれたシルバーや皿。
皿には、これは食べ物なのか?と思うほどに綺麗なベージュと鮮やかなオレンジ。
「あまり刺激的にならないよう、ブイヨンは少なめにしているとのことですので、お味が足りない時は遠慮すること無くお申し付けくださいませ」
どうぞ、と差し出された銀色の棒に、女給仕を見るが、恭しく頭を下げて差し出すだけだった。
「受け取りなさい」
主の彼女に言われ、慌てて銀の棒を受け取る。
先を紙で隠されていて、なんだろうか?と眺める。
「彼と話したいの。
席を外してちょうだい」
そう彼女に言われ、女給仕は、かしこまりました、と頭を下げて部屋を出て行った。
「そのまま、座っていて」
そう言って、カタ、と椅子から立ち上がった彼女を目で追う。
すぐ隣の椅子を少しこちらに向けて座ると、手に持っていた銀の棒を取られた。
それから、テーブルの白い布を手にした。
「首、触られて平気?」
はい、と頷くと、それを首に巻いてくれた。
テーブルの皿を寄せると、銀の棒の先についていた白い紙を取る。
丸い先端で、皿からスープをすくうと、フー、と吐息をかけた。
「ほら、口を開けて」
まじないでもかけられたのだろうか、と目の前の彼女を見るが、さあ、と差し出され、あ、と口を開けた。